ある新聞の記事で男性にも更年期障害があるということを知りました。私の症状と良く似ているため一度検査を受けたいのですが、どの診療科で相談すれば良いでしょうか。
那覇市会社員・52歳
おもに泌尿器科での診療
更年期障害は男性にも起こる事が知られており、40歳代から60 歳代に多く、早ければ30歳代で発症します。その原因の多くは、 加齢に伴う男性ホルモンの減少で発症すると言われています。男性更年期障害は医学用語で「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)」といいます。男性ホルモンの大半は精巣で作られますが、加齢による精巣機能の低下で男性ホルモンの産生量が減少し、さらには身体生理機能の低下や社会、家庭でのストレスが拍車をかけLOH症候群が発症します。
40歳代後半から60歳代は人生で最もストレスが多い時期といえます。中間管理職で重い責務を負った状況であり、最近では不況に伴い会社の倒産やリストラに対する不安は大きく、さらには高齢となった親の介護や病気の心配、また自らの子供の進路や学費、住宅ローンのやりくりなどでの悩みも多く、心理的ストレスの要因がLOH症候群と複雑に絡み合っています。そして体の調子が悪い、やる気になれない、眠れない、心に充実感がない、イライラしやすい、性欲減退、勃起不全(ED)などの様々な症状が出現します。その症状からうつ病と間違えられるケースも少なく無いとされています。
女性の場合更年期障害の原因は明確で、閉経により女性ホルモンの分泌が急激に低下することによってほてり、のぼせ、発汗など血管運動に関する症状が出てくるとされています。しかし、男性の場合は閉経のようにはっきりした現象はありませんので、LOH症候群と自覚しにくいのが現状です。LOH症候群の診断は、男性ホルモンであるテストステロン値の測定で行います。診療は泌尿器科で行われることが多いと思いますが、施設によってはLOH症候群の診療を行ってない医療機関もありますので、事前に電話などで確認し、受診されたほうが良いと思います。