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2018.05.26

尿のにごり

最近のトイレはほとんどが洋式になっているため尿や便の状態確認がしづらくなりました。 それでも、「尿の濁り」を気にしてクリニックを受診される方は今も少なくありません。 今回は「尿の濁り」について簡単に説明をさせていただきます。

健康な尿は基本的に透明です。 脱水傾向にある場合は尿の色は濃くなり、水分を取り過ぎた場合には「真水のように無色透明」となります。 では、尿が濁る原因について挙げていきます。

1)尿路感染症
 膀胱炎や腎盂腎炎など、尿路に細菌が侵入すると尿路の細胞に炎症が起こり、白血球や細菌、赤血球や炎症細胞等が混じりあって濁って見える事があります。 男性の場合には前立腺炎でも尿が濁って見える事があります。

2)尿路結石症
 腎臓結石、尿管結石、膀胱結石などの尿路結石の患者さんではしばしば尿の混濁がみられます。 この場合、尿混濁の原因として最も多いのは『尿中の塩類の結晶』です。 塩類とはリン酸やシュウ酸などを基とする成分で、塩類は一般的には水分に溶けているため肉眼では見えませんが、飽和状態を超えた分は結晶化し濁りとしてみえます。
そしてこれらの結晶が集まって腎臓結石、尿管結石、膀胱結石になります。 
すなわち、尿路結石症の患者さんの尿にはリン酸やシュウ酸の結晶が多く含まれていることが多いため濁って見えるのです。
 
3)性病
 淋菌性尿道炎(淋病)、クラミジア尿道炎などで尿の濁りを訴える場合もあります。

4)乳び尿、乳び血尿
 乳び尿とは、尿の中にリンパ球が混じった状態のことを言います。 尿が牛乳、ないしは米のとぎ汁のように乳白色に濁ります。 出血を伴うと、「イチゴミルク」、あるいは「コーヒー牛乳」のように見えることもあります。 これは腎臓周囲のリンパ管が何らかの原因でうっ滞した結果おこります。 腎臓周囲の外傷や、腫瘍(がん)、フィラリア症という病気などが疑われます。

5)コンタミ(コンタミネーション)
 コンタミ(コンタミネーション)とは医療業界用語で、「意図しない混入・汚濁」といった意味の事です。 女性の場合、採尿した際に「おりものが混入」する事が良くあります。 これを我々はコンタミと呼びます。 おりものがコンタミした尿は混濁してみえます。 私がまだ医師になりたての頃、患者さんが提出した尿に『油と蝋みたいなもの』が浮いておりました。 医学書をあれやこれやと調べるも原因がわからず、悩みましたが結論は『座薬が尿に混入』したものでした。 

きれいな尿は健康のバロメーターです。 尿の濁りが気になったらご相談ください。

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