健康診断で尿の再検査を指摘された方へ
健康診断で血尿や尿潜血を指摘され泌尿器科で精密検査を受けるように指導されることがあります。血尿や尿潜血を指摘された方の中には、尿路結石や腎炎などの炎症、腎機能の異常、悪性腫瘍(がん)といった疾患が潜んでいる場合もあります。
血尿や尿潜血で再検査に来られる患者さんはたくさんいますが『悪い病気』は見つからずに経過観察を行っている方が大半です。もしも悪い病気が見つかっても早期発見であれば完治できますので怖がらずに早めに受診されて下さい。
尿路結石
尿路結石は部位によって「腎臓結石」、「尿管結石」、「膀胱結石」、「尿道結石」と呼び名が変わります。
結石は、おしっこの中に含まれているいろいろな成分が結晶となって固まったものです。結石が大きく成長することでおしっこの通り道を塞いでしまい、「排尿時痛」や「突然の側腹痛(横っ腹の痛み)」、「血尿」などの症状をおこす事があります。
結石が1cm以下であれば自然に排石される可能性がありますので、通院での内服治療を行いますが、1cm以上であれば手術を行う必要があります。
神経因性膀胱
脳梗塞や糖尿病、パーキンソン症候群、脊髄の障害などが原因で膀胱の神経がマヒし、膀胱のコントロールが難しくなってしまう病気です。 神経因性膀胱には、膀胱に適正量の尿が貯められない『蓄尿障害』と、膀胱に貯まった尿をうまく出す事ができず残尿が常にある『排尿障害』の大きく分けて2つのタイプがあります。
蓄尿障害の患者さんに対しては、薬物療法や磁気刺激装置による治療を行い、排尿障害の患者さんへは薬物治療の他、管(カテーテル)を使用することで排尿を行う自己導尿の指導も行っております。また、寝たきりの患者さんや手の麻痺などによって自己導尿が難しい患者さんに対しては、尿道カテーテルを留置し通院での管理を行います。
尿失禁
当クリニックでは骨盤底筋訓練の指導、薬物療法に加え磁気刺激装置による治療も行っております。
切迫尿失禁
突然尿意を感じ、おしっこが漏れてしまう病気です。
腹圧性尿失禁
おなかに力を入れる(咳やくしゃみなど)と、おしっこが漏れてしまう病気です。
混合性尿失禁
切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁の両方の症状がある状態。
尿路感染症
急性膀胱炎、慢性膀胱炎
尿道から細菌が膀胱に入ってしまうことで、「おしっこをするときの痛み」、「おしっこの回数が多い」、「おしっこに血が混じっている」などといった症状が見られます。
急性腎盂腎炎(じんうじんえん)
膀胱炎が悪化することで急性腎盂腎炎になることがあります。典型的な症状は、腰痛、発熱(38度以上)、全身倦怠感、悪寒戦慄(ぞくぞくした寒気、ガタガタと震える寒気)で、膀胱炎症状が先行する事が多いです。
治療が遅れると敗血症、ショック等重症化し生命にかかわります。早めに抗生剤を投与し、必要であれば入院加療を行います。(入院が必要な場合には関連施設で対応いたします。)
間質性膀胱炎
間質性膀胱炎は難治性の膀胱炎であり、原因についてはいくつもの説がありますが、決定的なものはまだわかっていません。自己免疫疾患が原因となり膀胱の粘膜に異常が起こり、膀胱壁の炎症が深部に波及するためという説などがあります。膀胱壁の炎症により、尿が溜まると痛みを伴い、頻尿や尿失禁が出現します。
先ずはお薬で経過観察を行いますが、効果が無い場合には手術(膀胱水圧拡張術)を行います。(当クリニックの連携施設にて手術を行います)
過活動膀胱(OAB)
過活動膀胱は50歳以上の男女の約12.5%がかかっていると推定され決して珍しい病気ではありません。最近、さかんにテレビCMで放映されておりますが、急な尿意や頻尿、尿漏れといった症状がある方は過活動膀胱の可能性があります。
なしろハルンクリニックでは、薬物療法に加え、磁気刺激装置による治療も行っております。
尿路上皮がん(尿路悪性腫瘍)
尿路とは尿の通過路の事を言います。尿路がんは部位によって「腎盂(じんう)がん」、「尿管がん」、「膀胱がん」、「尿道がん」と呼び方が変わります。
尿路上皮がんの主な自覚症状としては血尿があげられます。検診や人間ドック等での尿検査の異常や超音波(エコー)検査での異常で発見される事も少なくありません。痛みなどを伴わない無症状の場合でも尿潜血を指摘された場合は早めに泌尿器科で検査をしてもらいましょう。
その他泌尿器科のがん
陰茎がん
陰茎がんは60歳以降の方に多く発生し、包茎の方に多いと言われています。包皮の内側に恥垢が貯留し、さまざまな微生物などが繁殖する事で亀頭部は慢性的な刺激を受けて『がん化』してくるものと考えられています。又、ウィルス(ヒトパピローマウイルス感染)の関与も示唆されており、婦人科における子宮頚がんと同様に性行為感染症が原因とも推測されています。
亀頭部分に難治性の腫瘤(おでき)や潰瘍ができた場合や、湿疹だと思って軟膏を塗っていても改善しない場合には陰茎がんが疑われますので泌尿器科専門医に診てもらう事が必要です。
精巣腫瘍(精巣がん)
好発年齢は0~10歳、20~40歳、60歳以上と3峰性に見られます。
日本人の発症頻度は10万人に1~2人と比較的稀です。精巣(睾丸)の腫れが主な症状ですが、痛みを伴わないため初期では気づきにくいです。精巣がんは短期間で転移することがあるため、精巣(睾丸)の腫れが気になったらすみやかに泌尿器科で診断を行う事が必要です。
尿路カテーテル管理
尿路カテーテルの通院管理も行っています。「尿道留置カテーテル」、「膀胱瘻留置カテーテル」の他、在宅自己導尿カテーテルの指導・管理も行います。
介護老人保健施設や特別養護老人ホームに入居中の方や、在宅療養中のご家族の方もお気軽にご相談下さい。